【BOOSTER】ウォーターフローは接触点で決まる!?

コーヒー

こんにちは、WRCのレオです。

だいぶ前にとある一つの動画に出会いました。

それが2021年のWorld Brewers CupチャンピオンのMatt Winton氏が提唱されていた”Contact Point”理論です。

元動画も貼り付けておくので、よろしければご覧ください。

動画の中で話された内容を噛み砕き、そして実際に使ってみた感想を今回はお伝えしたいなと思います。

Contact Pointとは

ここでいうContact Pointとはフィルターとドリッパーの接触点と非接触点の境界のことを指しており、この点をコントロールすることでウォーターフローをコントロールし、理想のコーヒーを作り出そうという考え方です。

ウォーターフローに影響するのは以下の3点です。

・接触点:ドリッパーとフィルターが完全に密着した点。ここではウォーターフローが遅くなる。

・非接触点:ドリッパーとフィルターが密着していない点。ここでもウォーターフローは遅くなる。

・境界点:接触点と非接触点の境界。ここでウォーターフローが最も速くなる。

この動画の中で仰っていたことはこの境界点であるContact Pointをコントロールすることで水の流れを制御し、理想の抽出を実現するということです。

Contact Pointの重要性

今回この理論に至った経緯としては、彼自身、巷に転がる美味しいコーヒーの淹れ方を参照した結果、思ったような結果が生まれなかったと語っています。

確かに現在のコーヒーシーンを見ても非常に高いBR、細かい挽き目、高温で高収率を目指そうという動きがあるよなとひしひしと感じます。
普通のブリューイングで上記を試しても過度に苦かったり渋かったりというのは想像に難くありません。

その中でなぜContact Pointが重要なのかというと、

1.均一な抽出
接触点を理解し、制御することにより、粉全体から均一な抽出を促し、バランスを保つことができる。

2.チャネリングの防止
Contact Pointを理解することにより、適切なウォーターフローを実現でき、均一性を促し、チャネリングを防止し、バランスの良いカップを形成する。

3.ウォーターフローコントロール
Contact Pointを理解することでお湯の抜け方を理解し、コントロールすることができ、味わいを自在に操ることができる。

BOOSTER

ここまでで動画内で話されていたContact Pointの重要性と役割についてざっくりご説明しました。

しかしながら従来のドリッパーをそのまま使用するには限られた境界点のみで抽出するしかありませんでした。

そこで、生まれたのが”BOOSTER”と呼ばれるステンレス製のメッシュです。


こちらは多数の小さな穴が空いてるステンレス製のメッシュで、ドリッパーの下部に配置し、その上からフィルターを設置し使用します。

フラットボトムとコニカルと両方あり、フラットは直径45mmに対し、コニカルは直径22mmで設定されています。

The Booster is a revolutionary way of brewing coffee, it is a tool to increase the extraction strength and the drawdown flow of your flatbed dripper brews.
Boosterは抽出において革新的で、フラットベッドドリッパーにおける高い収率とお湯抜けを増加させるツールです

Sitting between your filter and the brewer, it drastically increases contact points under the bed, right where we want to have most of our coffee flow through the filter, in a very even way, which increases drawdown speeds, and the potential for higher extractions without channeling.
フィルターとドリッパーの間に設置することで、ベッド下の接触点を大幅に増やし、コーヒーがフィルターを均一に通過することで、お湯抜けが速くなり、チャネリングを防ぎ、より高い収率が可能になります

The results are brews without bitterness or dryness, even at very high extraction yields allowing you to grind finer, to get sweeter, richer and better cups without changing your brewer, just by adding the booster under your paper.
その結果、抽出効率が非常に高くても苦味やドライネスのないコーヒーが淹れられ、抽出器具を変えなくても、フィルターの下にBoosterを配置するだけで、より細かく挽け、より甘く、より濃厚でおいしいコーヒーを淹れることができます。

引用:https://sibarist.coffee/product/booster-45/

要約するとBOOSTERを使用するメリットは以下の3点ですね

1.ウォーターフローがスムーズになる
境界点が大幅に増幅することにより、フラットベッドの目詰まりが減少し、スムーズな抜けを実現

2.均一な抽出
規則的なメッシュから全方向から均一な抽出が促せる

3.チャネリングの現象
スムーズな透過により、チャネリングの減少

使ってみた感想

実際に購入し、使用してみた感想をお伝えします。

前提として、このBOOSTERは細挽きでも目詰まり、チャネリングを減少させ、高いEYを実現させるために考案されたものであることから、挽き目は通常よりも少し細かめに設定しています。

まずはBOOSTER有りと無しの状態で淹れて飲み比べてみました。

BOOSTER有り(以下A) TBT2:30
BOOSTER無し(以下B) TBT2:36

ウォーターフローに関しては確かにAの方がスムーズかな感じましたが、めちゃくちゃ大きく変わるという感じでもないのかなといった印象です。

しかしながらタクタイル、酸味に大きな差が感じられました。
まずはタクタイルから

Aにはより厚みが増した印象でジューシー感のある粘性の際立つ質感という印象でした。

対してBは質感がやや泥っぽいというか粉っぽいというか、しかしながらややペラい。そんなイメージでした。

タクタイルに関してはBOOSTERに軍配が上がりますね。

BOOSTERを配置した方がボディの強度が僅かながら上がったような印象を受け、全体的に厚みが増し、質感も立体的な印象を受けました。
逆に配置しない方はMuddyでざらつきを感じる質感で、過抽出傾向が見られますが、ボディは線の細い印象です。面白いですね。

次に酸味です。Aは酸味が潰れた印象でカップ全体としてもやや暗めなトーン。
対してBは酸味の明るさが明確で豆本来の活きいきとした酸味を感じます。

酸味に関してはBOOSTER無しに軍配が上がります。

酸味に関してはBOOSTERを配置してしまうとよく言えば酸味が丸いと言えるのかもしれませんが、個人的にはミュートしすぎた印象を受けます。
シンプルに抽出した方がフィルター特有の明るさは表現できます。

酸味がキャッチし辛い面、甘さがあると誤認しやすいかもしれませんが、甘さが増したとは言えないかなと思います。

個人的見解

少し議題からは脱線してしまうかもしれませんが、個人的にはこの結果に対して、BOOSTERの特性はもちろんだとは思いますが、少なからず素材の影響をくらっているのでは?とも感じてしまいます。

この商品はステンレス製です。そのため僅かながら金属イオンが液体に溶け込んでいるはず。

金属イオンは多ければ多いほど質感強度を高め、酸味を潰していき、最終的にはエグ味につながります。
そのため、個人的にはBOOSTERを使用したコーヒーからは僅かながらメタリックなテイストが感じられました。

この現象を手っ取り早く確かめる方法があります。

まず普通にコーヒーを落とし、その後濃度勾配を小さくするためにスプーンで混ぜると思うのですが、混ぜる回数で味が変わっていくはずです。

スプーンと触れ合う時間が長い・多いほどボディや質感が重くなり、酸味が潰れていきます。
これがステンレスと触れ合うことの弊害でもあります。

Pa○gon使って質感良くなったみたいな情報聞いたりしますが、実はこれが原因だったりします。

そのため、飲み比べをした時に感じた印象として素材由来もあるなというのは非常に感じました。

まとめ

抽出のウォーターフローはドリッパーとフィルターの接触部と非接触部の境界点をコントロールする必要があるため、その改善策としてBOOSTERが開発されました。

実際に使用してみて改めて本当に高収率用に作られた商品だなということです。

動画内でもMatt氏が仰られておりましたが、収率を上げてもクリーンさを保てる綺麗なウォッシュドのコーヒーなんかには非常に合いそうです。

また、細挽きを使用しているにも関わらず、粉っぽさが軽減され、ウォーターフローが向上するのですから使うコーヒー次第では非常に有益かつ面白いツールだなと感じました。

気になった方は是非一度お試しあれ

ではでは

タイトルとURLをコピーしました