こんにちはWRCのレオです。
以前にも行ったことがありましたが、なかなかうまく言語化できておらず、理解していたつもりでしたが、まだ腹落ちしていない点があったため、再度同じように抽出時の注湯間隔と注湯回数がテイストにどのように影響を及ぼしているのかを理解すべく検証を行ってみました。
個人的には中々面白い検証であったため、抽出のヒントとして役立つんじゃないかなと思っています。
注湯間隔の検証
ここでいう注湯間隔とは各注ぎを何秒間隔あけて注湯を行うのかということです。
例えば1投目をスタートして30秒経ったら2投目を注ぐ、1分で3投目を注ぐと言った場合であれば30秒間隔となります。
今回は4投抽出で30秒間隔と40秒間隔で検証を行い、それぞれの収率と濃度を揃え、注湯間隔のみの影響を調べてみました。
抽出レシピ
使用豆:コスタリカ カトゥーラ ウォッシュド
粉量:13.6g
湯量:200g
注湯:70,60,35,35(center)
上記を守った上で、注湯間隔を30秒と40秒で比較するために挽き目を調整し、TDSと収率をそろえて検証を行いました。
注湯間隔検証結果
30秒間隔 23clicks(COMANDANTE)TBT2:21 TDS1.31
40秒間隔 24clicks(COMANDANTE)TBT2:51 TDS1.31
30秒の方がSBまで抽出されており、テイストストラクチャーがある。
30秒はEM,SB共に感じるやや暗めの印象だが、口当たりの柔らかさを感じる。
≒コンプレックスを感じる。甘さの印象が強い。
40秒はやや酸味の輪郭があり、明るさを伴うが、粘性が少なく全体的な強度が30秒に比べると弱い印象。40秒の方がEMを優勢に感じやすい。
40秒は酸味の明るさが主体的で軽めの印象で甘さを感じにくい。
上記結果から注湯間隔はある程度粒子の表面積量に依存しており、その表面積量に対する成分移動量の増加によって収率を合わせることができる作用があると考えられます。つまり、粒度と時間はイコールの関係であることがわかりました。
例えば、高分子帯を強調させたい豆などは粗めで収率を適正に保つために時間を長く取るレシピがいいのかもしれないですね。
また、しっかりとSBまで抽出させ、甘さや質感の向上を図りたい場合は、細かめで時間を短くする工夫ができると適正な収率でたくさんの成分を取り出すことができると感じました。
注湯回数の検証
次は注湯回数の検証を行います。
今回は注湯間隔は30秒に揃え、注ぐ回数におけるテイストの影響を調べるために、挽き目を調整し、収率とTDSを揃えていきます。
抽出レシピ
使用豆:コスタリカ カトゥーラ ウォッシュド
粉量:13.6g
湯量:200g
注湯:4回 70,60,35,35(center)
5回 55,55,35,30,25(center)
上記のレシピで比較していきたいと思います。
注湯回数検証結果
4回 23clicks(COMANDANTE)TBT2:21 TDS1.31
5回 24clicks(COMANDANTE)TBT2:40 TDS1.30
5回に増やしたことでボディインテンシティーが向上したためか、4回よりも酸味の輪郭が丸く感じます。かつ、明るさとクリーンさを伴うSBも感じられるコンプレックスな味わいを感じます。
注湯回数は収率に影響を及ぼすことがわかりました。
収率を揃えることができるというのと、粗め40秒には感じられなかったSBの発現と細かめ30秒では感じられなかったウェイトの向上から、注湯を増やすという行為によって成分量の増加作用が強いと考えられます。またボディと共に酸味の強度もましている印象です。
しかしEMを優勢に感じるのは4投です。そのため成分移動量の増加によるフレーバー印象を変える作用があるとも言えそうです。
ここから酸味よりのテイストを作りたい場合は注湯回数を減らし、収率を揃える。その際も挽き目によって成分移動スピードで調整するのか、高分子帯をさらに強調したいのであれば時間で調整するのも良いと感じます。
手っ取り早くSB,ウェイトの向上を図るのであれば注湯回数を増やすのが良い。
まとめ
今回は注湯間隔と注湯回数に着目し、それぞれがどう影響するかを検証しました。
結論どちらとに収率の向上につながりますが、その過程でのテイストに及ぼす影響は非常に大きいことがわかりました。
注湯間隔を伸ばすと成分移動量が向上しますが、それらはあくまでも粒子の表面積に依存するため、比較したものよりも粗い場合は高分子帯の量が大きくなります。逆に細かい場合は高分子、低分子量が増量します。そのため非常に強く収率の向上が図れるというわけです。
注湯回数も同様成分移動量を増加させます。注湯回数を増やすことで総成分量を増加させ、ウェイトやSBの発現などフレーバーを大きく変えうる特性を持っています。
同じ収率の向上ですが、豆やレシピによってどれを使用するかは大きく変わってくるため、この辺りの理解は非常に重要であると感じました。